大判例

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東京高等裁判所 昭和27年(ネ)92号・昭27年(ネ)94号 判決

第一審原告 立川嘉子 外一名

第一審被告 立川吉太郎

〔抄 録〕

第一審原告らの本訴請求は、訴外立川保全合資会社は、昭和九年七月二十二日第一審原告イシが唯一人無限責任社員となり第一審原告嘉子、第一審被告、訴外立川恵三郎、同立川友吉四名はいずれも有限責任社員となつて、第一審原告嘉子が家督相続により取得した財産の保全を目的として設立されたものであるが、設立の趣旨に鑑み、第一審原告嘉子以外の他の社員は、いずれも会社に対して利益配当はもちろん、退社の場合にはその持分の払戻を、解散の場合には、残余財産の分配を請求しない旨を約したのに、第一審被告は右約定を無視し、また右会社の設立にあたり、定款中の第一審被告の氏名の肩書に記載されていた有限責任社員の「有限」なる文字が、第一審原告ら不知の間に、何人かにより「無限」と訂正され、そのまま登記を経たため、第一審被告は形式上右会社の無限責任社員となつているのに乗じて、第一審原告イシの無限責任社員としての職務の執行停止の仮処分を求め、右会社の財産を処分する等の違法行為があるので、第一審被告は右会社の無限責任社員でないこと及び右会社から利益配当を受ける権利、退社のとき持分の払戻を受ける権利、解散のとき残余財産の分配を受ける権利のないことの確認を求めるものである。

本訴は右会社の社員である第一審原告らのみから右会社の社員である第一審被告のみを相手方として提起されたもので、右会社は訴訟の当事者とされていないことは、記録上明らかである。

ところで、確認訴訟は、即時確定の利益ある場合、言い換えれば、原告の有する権利又はその法律上の地位に危険又は不安が存在し、これを除去するために被告に対し確認判決を得ることが法律上必要且つ適切であり、訴訟物たる権利又は法律関係を判決により確定することによつて、原告の有する権利又はその法律上の地位に対する危険又は不安定が、法律上即時に除去される場合に限り許されるものであることはいうまでもない。また、判決の効力は、商法第一〇九条、第二五二条その他法律で特に規定する場合はかくべつ、第三者には及ばないのであり、確認判決についても、その既判力の生ずるのは、原則として訴訟の当事者に限られるところである。第一審原告の上記主張事実に徴すると、本件は確認判決の既判力が第三者である立川保全合資会社に及ぶべき例外の場合にあたらないことが明らかである。そうだとすると、本件確認訴訟で第一審原告ら勝訴の判決が確定したとしても、右会社は第一審原告に対して右確定判決によつて確定された法律関係を確定不動のものとして主張することはできず、また第一審被告は右会社に対して、右確定判決に反する法律関係を主張して、自己が右会社の無限責任社員であること、及び利益配当持分払戻或は残余財産の分配を求める権利あるとの主張も、なんの拘束も受けずに有効になし得るのである。そうであるから、結局右会社が当事者に加つていない本件において、第一審原告らが勝訴の判決を得ても、第一審原告の主張する第一審被告が右会社の無限責任社員でないかどうかなどという法律的の粉争は根本的には解決されないのであるから、第一審原告らは、その主張するような法律上の地位に対する危険又は不安定を除去するについて、法律的にみれば有効適切なものではなく、従つて本件確認訴訟はいわゆる即時確定の利益を欠くものといわなければならない。

(村松 伊藤 山本一)

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